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シリーズ  ドラマチックな偶然

Essays and monologue

このサイトは「ドラマチックな偶然」という共通のテーマに基づいた、著者自身の個人的な回想やエッセイをまとめたものです。
かつての親友との再会や、レストランでの音楽が繋いだ奇跡的な縁など、日常に潜む運命的な瞬間が情感豊かに描かれています。
また、勘違いから生まれた滑稽な失敗談や、プロの奏者として関わった名曲の制作秘話といった、彩り豊かなエピソードも収録
されています。これらは単なる過去の記録にとどまらず、人生の機微や味覚の奥深さを肯定的に捉え直す視点を提供しています。
各物語は、読者の心に温かさや懐かしさを呼び起こすような、優しい語り口で構成されています。


ドラマチックな偶然

駅のホームで落とした一枚の写真。風に舞い、見知らぬ人の足元へ。
拾い上げたその人は、かつての親友だった。十年の空白を埋めるように、言葉が溢れた。
偶然は、運命の仮面をかぶって現れる。忘れたはずの記憶が、風に乗って戻ってくる。
ドラマチックな偶然は、人生の脚本にない一幕を、そっと差し込んでくれる。


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シリーズ  ドラマチックな偶然

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ちょっとした勘違い

45年前の喫茶店で読んだ、源氏鶏太の心温まる短編小説の思い出


川口の喫茶店での思い出

45年前、私が24歳だった頃。埼玉・川口の喫茶店で仕事前に読んだ小説をふと思い出しました。作家は直木賞受賞者の源氏鶏太。短編だったと思いますが、タイトルは思い出せないものの、内容は鮮明に覚えています。

毎朝の「にっこり」

物語の舞台は、とある通りに面した喫茶店。カウンター越しに、毎朝同じ時間に素敵な女性が通りかかり、「にっこり」と微笑んで挨拶してくれるのです。最初は偶然かと思っていましたが、それが毎日続くと、私もすっかり彼女に思いを寄せるようになりました。

意を決して

そしてある日、なんとその女性がお店に入ってきたのです!私は意を決して、彼女に好意を持っていることを打ち明けました。

意外な真実

ところが、女性の口から語られた真実は意外なものでした。「毎朝慌ただしく家を出て、ちょうどお店のガラスが鏡のように映るので、身だしなみをチェックするために『にっこり』と自分の顔を見ていただけだったんです」と。
何だか、よくある話ですよね。実は、私にも飲食店を経営していた頃に似たような経験がありました。

ほっこりと心温まる物語

こんなちょっとした勘違い。でも、なんだか「にっこり」「ほっこり」と心温まる物語でした。あの源氏鶏太の小説、もう一度読んでみたいなあ。

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シリーズ  ドラマチックな偶然

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1枚のクラッシックCD

一枚のクラシックCDと、結婚記念日に起きた小さな奇跡。
「月光ソナタ」に導かれた心温まるエピソードと共に、癒やしの名曲たちをご紹介します。


偶然が紡いだ、思い出の旋律

暑い夏が過ぎ、心地よい風が吹き始めた初秋のこと。いつものように常連さんたちのグループが、賑やかな食事会を開いていました。
その中に、初めて参加された40代くらいの男性がいらっしゃいました。彼は、ちょっと苦手だなと感じてしまうほどダジャレを連発するタイプの方。正直なところ、私は少し戸惑っていました。
食事会が終わり、お帰りになる際、その男性が「今度、女房と来たいので予約をお願いします」と声をかけてきたのです。どうやら結婚記念日のお祝いにご利用されるようでした。

結婚記念日の奇跡

そして、結婚記念日当日。彼は、まるで別人のように紳士的で優しいご主人に変身していました。そして、隣には、彼とは釣り合わないのでは?と思ってしまうほど、素敵な奥様が寄り添っていたのです。
その日は、ランチタイムから忙しく、数日前に購入したお気に入りのクラシックCDをBGMにしていました。心地よい音楽が流れると、不思議と仕事もはかどるのです。ディナータイムにも、そのCDを流していました。

コース料理の中盤、ご主人がお手洗いに行かれた際、奥様が突然、小さな声で話しかけてきたのです。
「あの、失礼ですが、どうしてこの曲をご存じなのですか?」
店内には、ベートーヴェンの「月光ソナタ~第1楽章」が流れていました。
「この曲は、主人と結婚する前に、彼が『とてもいい曲だから』と私に勧めてくれた曲なのです」と、奥様は少し照れながら話してくれました。

心温まる偶然

結婚記念日に、お二人の思い出の曲が偶然にも流れていたとは…。まるで映画のワンシーンのような出来事に、私も心が温かくなりました。
お帰りになる際、お二人を見送ると、初対面の時の印象とは全く違い、本当にお似合いの素敵なカップルに見えました。きっと、ご主人は少し照れ屋な方なのでしょう。
それ以来、10年以上経った今でも、私はこのCDをコース料理のBGMとして流し続けています。

「Gentle Brown」
制作・製造元:BMGビクター

1.白鳥(サン=サーンス)2.バッヘルベルのカノン(バッヘルベル)3.月光ソナタ~第1楽章(ベートーヴェン)4.弦楽のためのアダージョ(バーバー)5.亡き王女のためのパヴァーヌ(ラヴェル)6.ラルゴ「オンブラ・マイ・フ」(ヘンデル)7.アルビノーニのアダージョ(アルビノーニ)8.ハイドンのセレナーデ(ハイドン)9.交響曲第3番~第3楽章(ブラームス)10.ワルツ「弦楽セレナード」より(チャイコフスキー)

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秋桜のイントロ

山口百恵の名曲「秋桜」に秘められたレコーディング秘話とは?


秋の桜と書いてコスモス。

山口百恵さんの大ヒット曲「秋桜」、
作詞作曲はさだまさしさんです。

秋桜、知られざる秘話

この曲のレコーディングはEマイナーで行われましたが、実際にテレビなどで歌われたのは半音低いE♭マイナーでした。秋桜と書いてコスモス。山口百恵さんの大ヒット曲「秋桜」は、さだまさしさんが作詞作曲を手掛けた名曲として、今もなお多くの人に愛されています。その裏には、1977年8月、新宿コマ劇場でのリサイタルで行われた、知られざるエピソードがあったのです。
MOMOE IN KOMA(新宿コマ劇場で行われた)第3回「百恵ちゃんまつり」

コマ劇場でのリハーサル

当時、「秋桜」のレコーディングを終えた百恵さんは、テレビ番組やコンサートでの演奏に向けて、コマ劇場でフルバンドを使った初リハーサルを行いました。その目的の一つは、長期公演となるコマ劇場での公演に向けて、百恵さんの歌いやすいキーを選ぶことでした。レコーディングのEマイナーと半音低いE♭マイナー、2通りの楽譜を用意し、リハーサルが始まりました。しかし、ピアノのイントロが始まった時、スタッフの誰もが気づかないことが起こりました。ピアニストが装飾音符を省いて演奏していたのです。E♭マイナーで装飾音符を入れてイントロを弾くことは非常に難しく、苦肉の策だったのでしょう。

E♭マイナーに決定、そして…

結果、百恵さんはE♭マイナーを選びました。しかし、その後、ピアニストはバンドを退団。後任のピアニストを含め、超一流バンドのピアニストたちも、リハーサルや本番でイントロを何度も間違えていたそうです。

当時のバンドメンバーだけが知る事実

なぜこんなにも詳しいのか?それは、投稿者が当時、百恵さんの専属バンドでトロンボーン奏者を務めていたからです。テレビのリハーサルや収録で、イントロが何度も中断した光景は、今も忘れられない思い出。コスモスが咲き始める季節、誰も知らない「秋桜」の秘話を思い出してみてはいかがでしょうか。(ピアニストの佐々木さん、時効です!)

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美味しさと甘みの関係とチョコレートのほろ苦い思い出

チョコレートの「ほろ苦い」バレンタインデーの思い出エピソードとともに、味覚の奥深さを紹介します。


味の仕組みについて

人間の味覚は、甘味(甘い)・塩味(しょっぱい)・酸味(酸っぱい)・苦味(苦い)の4味です。それぞれの「味覚」、単独ですと美味しくありませんが、甘みと組み合わせると、ぐんと美味しくなります。
● 甘じょっぱい ● 甘酸っぱい ● ほろ苦い
最近では、旨味を入れることも多くなりました。その場合5味です。辛味は痛みや刺激ですので味覚には入れておりません。その他香辛料やハーブ・ニンニク・ゴマなど様々な香りがあります。辛味や香りも4味との組み合わせで、味を決めるのに大事な働きをします。

50年前の「ほろ苦い」お話

バレンタインデーといえばチョコレート。世の男性たちが甘い贈り物に預かる中、私は今年も(糖質制限中という言い訳が功を奏したのか)一つも貰えませんでした。
少し寂しい気もしますが、かつてはチョコレートが大好物。ガトーショコラや、とろけるバナナを包み込んだチョコバナナタルトなど、得意な手作りスイーツもたくさんありました。何層にもチョコレートとカスタードを重ねたミルクレープも、思い出深い一品です。

今は糖質制限中のため口にしていませんが、チョコレート、特にカカオのほろ苦さは、人間の根源的な味覚を刺激する不思議な魅力があります。「良薬口に苦し」という言葉もあるように、苦味は時に、人生の教訓や成長の糧となる経験を象徴するものでもあります。
ジャズの名曲「マイ・ファニー・バレンタイン」も、この時期に聴きたくなる一曲。マイルス・デイビス、チェット・ベイカー、クリス・ボッティなど、様々なアーティストの演奏で親しまれていますね。

20歳の私の大失態

さて、バレンタインデーといえば、日本ではクリスマスケーキに続く菓子業界の救世主。そのバレンタインデーにまつわる、私の恥ずかしい思い出を一つ(時効ということで)お話ししましょう。
20歳の頃、私は地方都市のキャバレーでトロンボーン奏者として働いていました。仕事場の近くに昼は喫茶店、夜はスナックになるお店があり、そこで働く年上の女性に憧れていました。

2月13日のこと。いつものようにコーヒーを飲みに一人でその店に行くと、彼女から小さなチョコレートの包みを手渡されました。私はてっきり、自分にくれるバレンタインチョコだと勘違いし、有頂天に。
実は、いつも一緒にコーヒーを飲みに来る先輩へのチョコを預かって欲しいという意味だったのですが、当時の私は純粋(というか鈍感)すぎて、その真意に気づかず、全部食べてしまったのです。
翌日、お礼を言おうと再び店を訪ねると、開口一番「ねえ、渡してくれた?」と聞かれ、そこで初めて自分の勘違いに気づき、慌てて店を飛び出しました。
幸いにも、同じチョコレートを見つけ出し、事なきを得て先輩に渡すことができましたが、あの時の冷や汗と恥ずかしさは今でも忘れられません。

苦い経験から学ぶこと

毎年バレンタインデーが近づくと、このほろ苦い思い出が蘇ります。
苦い経験は、時に不快なものです。しかし、そこから学ぶものがあれば、それは人生の良い経験へと変わるのではないでしょうか。そして、くれぐれも甘い言葉やうまい話には騙されないように、気をつけたいものですね。